東洋医学とは
2022.10.20
東洋医学と鍼灸
東洋医学は、痛みや症状を取る以外に一番の目的は自然治癒力を高めることにあります。東洋医学は、三千年の歴史があります。
古典に次のような言葉があります。「病を得て、薬を求むるは、渇して井戸を掘るに似たり、聖人は巳病を治さず未病を治す」と説いています。
解釈すると、「病気をしてから、医者よ、薬よと求むるのは、喉が乾いてから井戸を掘るようなもの。だから喉が乾く前に井戸はちゃんと掘っておきなさい」という意味になります。
そして、すでに病気になったのを治すのではなく、少し心掛けをよくして、はっきりとした病気になる前に、いわゆる初期のうちに病気は治してしまいなさい、ということです。
健康は日々の養生こそ大切で、それによって病気を未然に防ぎなさいということで、健康管理の必要性をこの時代で説いています。
東洋医学とは、西洋医学と違い、自然の治癒力を高めることをお手伝いする医学です。
東洋医学には色々な治療法があります。
医食同源に基づいた食事療法、気功療法、そして物理的刺激を用いて行う治療に、鍼灸、指圧、按摩などがあります。この物理的療法に最も少ないエネルギーで最大の効果を発揮するのが鍼灸です。
鍼灸治療は、痛みを取る治療ではありません。
痛みが出ている原因がどこから来るのかを把握し、体の全身を診ていきます。
つまり全身を整えるのが鍼灸治療です。
ツボとは
ツボとは、体の表面の特定の部位に、体調が悪い時や病気があるときにあらわれる反応部位のことです。
伝統的には、行基の原因となる邪気の出入り口とも
考えられてきました。
邪気って何って感じですが、悪い気が自然に体に入ってきてしまうということです。
このツボと呼ばれる部位は、経絡と呼ばれる気血の通り道に存在していると言われています。
WHO(世界保健機関)によると、経穴部国際標準化公式会議にて、現在正式に主要なツボとして認められているのが361穴とされています。
この経穴以外にもいくつか経穴部位があり、この倍はあると言われています。
☆昔はなんでここがよく効く場所なんだろうとはっきり分かっていなかったんですが、ツボの個所には神経や血管が多く存在していることが近年の研究で分かってきました。
ですので、ツボがしっかり合っていれば皮膚反応が起こり効果を発揮することができます。
経穴とは
経穴は経絡上にあり、主に脈の拍動するところ、骨間部、肌肉の境目などに存在します。経絡治療では、臓腑と経絡は一体と考えられていることから、臓腑の変調は経絡の変調となり、陥下、膨隆、痛みなどの反応として経穴が現れると考えます。そのため、経穴は診断点や治療点となります。経穴の反応は様々ですが、治療は五行穴や要穴などの穴の性質を使って補瀉を施し、気血の流れを良くします。
点で得られる反応より、経で得られた反応の方が治療しやすいです。一点で現れるより経としてつながって反応が表れている場合が多いからです。
また、五行穴を重視しますが、これは経絡の深さを診ているので、経絡の性質として用いています。ツボだけを独立として考えていないので、基本的に特効穴は用いません。
経絡とは
経絡は体内に深く入ったり、体幹や手足の表面に出たりします。つまり臓腑と体表を結び、各臓腑がもっている気を巡らせる道でもあり、臓腑の気は経絡によって全身に運ばれます。そして臓腑の状態は経絡に反映して現れます。だからこそ、経絡を利用して臓腑の変調を調節したあり、全身の調子を整えたりできるのです。
東洋医学の診察
東洋医学の診察は、四診法と呼ばれるものが中心になります。
望診、聞診、問診、切診の四つの方法です。臨床に必要な望聞問切という四診を行い、必要な情報を集めてその病状を把握し、証や診断の結論を導き出し治療法則を決定していきます。
望診―目で診て観察することで、顔の表情、顔や皮膚の色つや、動作、舌などをみて判断します。また、直感的に感じられる患者さんの雰囲気なども診察の対象です。
聞診―耳で聞くことで、声の質、調子、呼吸、咳など状態を聞き取って判断します。また口臭や体臭なども対象です。
問診―患者さんに現在かかっている病気の状態や日常生活の様子などを訪ねて診断することです。
切診-手指や手掌を直接患者さんに触れて診察する方法で、脈診、腹診、背診、切穴があります。
脈診―手首にある動脈を触れて、病を判断する方法です。
腹診―腹壁の緊張、弾力、硬結、圧痛、温冷などを診る方法です。
背診―背部の皮膚、筋肉、ツボの状態を診る方法です。
切穴―ツボの反応を見る方法です。
鍼灸治療の治療効果
鎮静作用―疼痛や痙攣を鎮める
興奮作用-知覚鈍麻、運動麻痺、神経機能の減弱、内臓器官の機能減退などを興奮させる
誘導作用―局所の血行障害、充血や炎症の際に血流を誘導して幹部の血量を調節する
反射作用―生体のもつ反射機転を介して、組織、器官の機能を更新あるいは抑制する
消炎作用―リンパ系の賦活により病的襂出物などの吸収を促進する
防衛作用-白血球などを増加させ、免疫機能を高めて生体の防衛能力をたかめる
転調作用―自律神経失調症やアレルギー体質を改善し、体質を強壮にする
などですが、一人一人の性格や能力がみんな違うように、鍼灸の治療効果も個人差があります。疾病の種類によっても有効性は変化します。また、西洋医学の医師と同じで施術者によって得意分野と不得意分野があります。そのことを前提に、満足のいく治療をうけるには、信頼のおける誠実な治療家を探すのが一番です。